──あたしはまだ寝ぼけているのだろうか。


目の前に、こんなところに雪平くんがいるなんて、そんなのおかしい。

きっと、何かの間違い、よね──。


「……ごめん。勝手に来ちゃった」


暫く呆然と立ち尽くしていると、幻覚なのか分からないその人が、口を開いた。


「どうして」


雪平くんには、何の連絡もしてないのに。


「住所は関口さんから聞いた。今家に璃子ちゃん一人だってのも」

「……そっか」

「璃子ちゃんが学校休むのも珍しいし、やっぱり心配でさ」


困ったような、優しい笑顔だった。


……雪平くんだ。

あたしの作りだした幻でもなんでもない、本物の雪平くんだ。


「ありが、と……」


嬉しい。

あたしのこと……心配してくれてたんだ。