「大丈夫?」 ぱちっ。 耳元に響いた声に、ぎゅうっと閉じていたはずの目が静かに開いた。 「雪平、くん……」 薄暗闇の中浮かび上がるその顔は、どこか不安そうに見える。 「なんとか、大丈夫」 と、絞り出した声。 ちょっと震えがマシになったかも、なんて思ったその時。 あたしはとある事実に気づいてしまった。 「なっ」 ──なにこれ。 あたし雪平くんの腕にめちゃくちゃ抱きついてる!?