「それとなく探り入れようか?」
「や、いいよそんなの!」
覗き込んできた旭を急いで止める。
気になるはずなのに。
何となく、そうしたくないというか。
「そか。じゃ、もうすぐシフトの時間だから行くわ」
「うん。頑張ってね」
店の中へ消えていく後ろ姿に、あたしは小さく手を振る。
すると、その足は急に止まって。
「あ、そうだ。一つ、優しい旭くんからかわいそーな璃子ちゃんにアドバイス」
「……なによ」
顔だけこっちに向けた旭が片方の口角を上げる。
怪訝な顔をして答えを待つあたしに、ヤツは迷いない口調で言い放った。