だけど。
仕事が楽しい。
「芸能界に入ったのって、中学二年生だったっけ?」
「うん、二年前。ちょうどその時、ティーンズ向けのファッション誌のモデルのオーディションに受かったんだ」
雑誌のすみっこに小さく載ったところから始まり、気づけば単独で表紙を飾ってた。
単独の表紙掲載までの期間が短く、史上初とか言われて騒がれた。
そしたら飲料水のテレビコマーシャルの話が舞い込んで。
世の中の私に対する認知度が一気に上がった。
『独特な眼差しと、どこか儚げな佇まいがクセになる』
『大型新人現る!』
そんなふうに世間の注目の的になって、役者としてドラマに出演依頼がやって来た。
『ダイアモンドの原石』とか、『次世代期待の役者』など、全く未経験だった演技も評価されて。
「今度、大きな仕事が入ってるんだ」
と、私は真夏くんを見る。
超大物有名監督が撮る恋愛映画のヒロインに、私が抜擢された。
「すごいんだね」
と、真夏くんは目を細める。