夜空にくっきりとしたお月様が浮かんでいた。
「本当だ、キレイ……」
しばらくふたりで月を見上げていると、
「すみれちゃんは、大丈夫だからね」
と、真夏くんが言った。
「えっ?」
「何にも怖がることなんかないよ。絶対に大丈夫」
「……大丈夫って、何が?」
真夏くんが。
私の手をそっと握った。
「どんなことがあっても、オレは味方でいる! オレは、すみれちゃんのそばにいる!」
そう言って、満面の笑みを見せた。
「……どんなことがあっても?」
「そう。あっ、オレだけじゃないよ。すみれちゃんの周りには、すみれちゃんのことが好きな人がいーーっぱいいるんだからね」
「そうかな」
「そうだよ」
泣きそうになった。
何よりも心強い言葉だった。
「……私ね、カメラの前に立っていたいけど」
「うん」
「こんな怖がりな自分が恥ずかしくてね、ずっとカメラの前の自分と本当の自分とのギャップが嫌だった」