「上手に乾かせるかなー」
真夏くんは心配そうな顔で、それでもドライヤーを受け取ってくれる。
ローテーブルの前でちょこんと座ると、真夏くんが後ろから膝立ちして、
「熱かったら絶対に言ってね」
と、ドライヤーのスイッチを入れた。
ちょっとごつっとした、細長い指が。
私の髪の毛に優しく触れる。
(わっ……)
なんか、思っていたよりずっと、ドキドキする!
「熱い? なんかすみれちゃん、耳の周りが真っ赤になってない?」
「熱くないもん」
「そう?」
誰かにドライヤーをしてもらうって、心地良いんだな。
ううん、真夏くんだから、心地良いんだろうな。
後ろからじゃ乾かしにくかったのか、真夏くんが私の左横に移動する。
(真夏くん、良い香りがする)
そう思ったら、気づいた。
私、今、真夏くんと同じ香りがしている。
(わっ……、なんか……)
それってすごく照れる。