アカウント名を見てみる。
多分、植物の名前をそのままアカウント名にしたんじゃないかな。
「……あきらのアカウント名だ」
真夏くんが残念そうに呟いた。
赤いハイカットスニーカーを履いた女性が、
「えっ? 知ってる人なんですか? やっば!」
と、私に向けていたスマートフォンを下ろした。
その表情から、どうやら私に同情しているらしい。
「高野さん」
と、デニム色のTシャツの男性が、“さん付け”で私を呼ぶ。
「どういう状況かはわからないけど、この記事、すっごい拡散されているから、この町から離れたほうが絶対にいいと思うけど。オレ達みたいに探しに来る奴いると思うし」
「……でも私、この町にいたいんです」
赤いハイカットのスニーカーを履いた女性が、
「私、高野さんに会ったこと、秘密にします」
と言って、
「みんなも秘密にしようよ。なんか、可哀想だよ」
なんて説得を始めてくれた。
「……わかる。だって知っている人に裏切られるのって、マジありえないもん」
と、背の高い女性も頷いてくれる。