「オレ、すみれちゃんと同じ気持ちだよ」
と、真夏くんが私の頬を指先で撫でる。



(同じ気持ち?)




……嘘。



「こんな時に嘘言わなくても良いんだよ。余計に傷つくよ」

「すみれちゃん、ちゃんと聞いて。オレの気持ち、無視しないで」

「……」




「ずっとすみれちゃんのことが好きだった」
と言った真夏くん。



「えっ、だって、さっき……」

「いきなりキスしようとか言われたら、誰だって戸惑うから。でも、だからってすみれちゃんのことを拒んでいるわけじゃないし、この気持ちを無視されるのもやだ」

「!」



私、そういえば。

真夏くんの気持ち、勝手に想像して決めつけていた。



(だから無視しないでって言われていたんだ)



「すみれちゃんがキスしようって言うのも、オレのことを好きでいてくれるからだってわかって嬉しいし、正直安心した」

「安心?」

「そう。だって、なんでかわからないけれどキスしようって言われても、混乱するよ」

「……ごめんね」