「すみれちゃん……っ」

「真夏くんのこと、ずっとずっと好きだったの! 小さな頃からずっと!」



(あぁ、ダメだなぁ)



ロマンティックに告白が出来たなら良かったのに。

こんな、駄々っ子みたいな。

めちゃくちゃな告白なんて。



だけど。

これが、私。



ここにはカメラなんてないんだから。

おすましする必要だってない。



本当の私をさらけ出して。

振られてしまうのはわかっていても。

自分の気持ち、言えたんだから。



(もう、それで良いって思わなくちゃ……だよね?)



真夏くんはズレていないメガネをかけ直した。

そのことで少し緊張しているんだってわかる。

私は思わず俯いた。



「すみれちゃん」
と、私を呼ぶ声が、やっぱり緊張しているように聞こえる。



不安で、私は真夏くんのほうを向けなかった。



真夏くんは、
「お願い、オレのことを見て」
と、言う。



真夏くんの目を見た。

黒いキレイな瞳。

吸い込まれそう。