真夏くんは戸惑ったように、
「えっと、そうなんだ……?」
という反応だった。



(まぁ、好きでもない子のこんな話、興味ないよね?)



「だけど、初めてのキスは大事にしたいの」

「……」

「私、初キスは大好きな人としたい」



そこまで言うと、また涙があふれてきた。



(叶わないんだ)



そう思うと悲しかった。

真夏くんとキスをする、という目的が果たせないことよりも。

真夏くんにキスを拒まれたことが。

イコール、私は真夏くんの特別な女の子になれないってことになって。



(もう立ち直れないかも)
と、また弱気になってしまう。






「そんなに大切な初めてのキスを、なんでオレなんかと……」



真夏くんが呟いた。

思わず、カチンと頭にきて。



「ばかっ!」
と、真夏くんの胸を手でぶった。



「なんでわかんないの? 私、ずっと真夏くんのことしか見てないんだよ!?」