「まだ芸能界に二年しかいないから、みんな物珍しいだけだよ」
と、謙遜(けんそん)してみる。



「そんなことないよ、すみれちゃんの努力の賜物(たまもの)だよ」



「そうかなぁ」と、のんびり言いつつ、実は嬉しかった。

言ってほしかった言葉だった。

運の良さでここまで来たと、思われたくなかった。

真実、そうであっても。

私の努力も認めてほしかった。



誰よりも。

真夏くんには、特に。






「いただきます」
と、真夏くんがバニラアイスを口に入れる。



「美味しい?」

「うん。好きな味のまま」

「良かった」



ひと口、ふた口食べて。

真夏くんが、
「それにしても、よくオレの住んでいるところがわかったね?」
と、疑問を口にした。



「えっ、あ、うん」

「言ってたっけ? ここの住所」

「えー、あ、聞いた……かな?」



実は。

協力者がいるから、私はここにいる。