花火大会当日の2時


なぜか私は花織にメイクをされている。

「ねぇ花織、そんな必死にやらなくてもいいんだよ」

「いやいや、花火大会は男女の一大イベント!」

「気合い入れてこー!おー!」

「お、おー」

きっと花織は私がしようとしてることに気づいてる。

気づいているのに何も言わないのが花織の優しさだ。

でも、私はまだ迷ってる。

中途半端な気持ちのまま花織に気を遣ってもらうのが申し訳なくて、居心地が悪い。

「痛かったら言ってねー」

どうやら考え事をしている間にヘアメイクに移ったらしい。

「うん」

私は、人に髪を結んでもらうのが好きだ。

とても心地よい。

「はい!できたよ」
「浴衣の着付けもしなきゃね〜」

「うん、お願い」

「まかセロリ!」