「OKよ」

 轟が笑みを浮かべて拍手をしていた。
 コントロールルーム内のエンジニアやスタッフも全員が笑顔で拍手をしていた。

「やったぜ!」

 録音ブースの中で、何度もハイタッチを重ねた。

「やったじゃん」

 ベスに髪をぐしゃぐしゃにされた。
 タッキーに手荒くヘッドロックされた。
 キーボーはただニコニコしていた。
 時計の針は午前4時を指していた。

「さあ、気合入れていきましょう」

 轟がスタッフに活を入れた。
 A面の録音が終わっても、発売までにすべきことは山ほどあるのだ。
 B面の録音、ミキシング、写真撮影、表紙のデザイン、プロモーションの企画、コンサートのスケジュール、これからが本番なのだ。

「忙しくなるわよ、覚悟しなさい」

 檄を飛ばした轟だったが、その顔は生気に満ちていた。