ビフォー&アフター 

 1年に渡る全国ツアーが終わった。
 前座としてのステージだったが、最後はメインのバンドを凌ぐほどの歓声を浴びるようになっていた。
 3人はやり切ったことと反応の良さに満たされていたが、へとへとに疲れてもいた。
 気力・体力の限界だった。
 だから、自宅で死ぬほど寝たいと思っていた。
 それ以外は何も考えられなかった。
 しかし、轟の発言に眠気は完全に吹っ飛んだ。

「レコーディングの準備を始めるわよ」

 えっ! 

 同時に驚きの表情を浮かべた3人は、一瞬言葉を失くした。
 レコーディングという言葉は夢にまで見た言葉だった。