「何になさいますか?」

「トルコライスって……」

 どんな料理か訊こうとしたが、「トルコライスですね」と注文票に書き込まれてしまったので訊きそびれてしまった。
 それに忙しそうだった。
 すぐに背を向けてキッチンカウンターの方に向かうと、注文票を置いたと思ったら次のテーブルに料理を運んでいき、すぐさま小走りでレジへ向かった。
 そんな彼女の姿を目で追っていると、何人かの若い男性客も同じように彼女の姿を追っていることに気がついた。
 彼らは彼女を目当てに来ているようだった。
 そうだろうな、これだけ可愛かったら誰でもそうするよな、と勝手に合点した。

「お待たせしました」

 トルコライスがテーブルに置かれた。

 えっ、これがトルコライス? 

 大皿の上に、〈ピラフ〉と〈スパゲティ〉と〈トンカツ〉がサラダと共に盛り付けられていた。

 なんでこれがトルコ料理なの? 

 名前の由来が気になったが、腹の虫の催促に押されて一気にガツガツと食った。

 うまい! この濃い味がたまらない。

 やっと腹の虫が泣き止んだので水をごくごくと飲みほしたあと、彼女の姿を探した。
 レジにいた。
 しかしすぐに接客を始め、相変わらず忙しく動き回っていた。
 彼女が接客中はオーナーらしき男性がレジを打っていたが、
 オーナーには興味がないので、彼女がレジを打つ瞬間を待つことにした。