待ち続けて、
 待ち続けて、
 遂にやって来た。
 最初の傘鉾(かさぼこ)今博多町(いまはかたまち)の『本踊り』だった。
 黄、紫、緑、赤、桃色の五色(ごしき)(あで)やかな着物姿の女性が厳かに優雅に踊る姿に見惚れてしまった。

 次は魚の町の『川船』
 グルグルと威勢よく川船を回す男衆に歓声が上がったが、なんと言っても見ものは『子供船頭の網打ち』
 船の舳先(へさき)に立つ小学生低学年くらいの男児が石畳に置かれた魚の模型に網を打つと、見事に5尾すべてを捕らえた。
 その瞬間、練習の成果が出て自慢げな表情になった子供船頭にヤンヤの拍手が送られた。

 次にやって来たのは江戸町の『オランダ楽隊オランダ万才』
 オランダと日本の国旗が立てられた阿蘭陀船(おらんだぶね)には、濃紺の帽子を被って金糸で刺繍(ししゅう)されたベストを着た子供たちの楽隊が乗り、華やかな演奏が繰り広げられた。
 船長に扮した男児が献上の品を奉納すると、両国の友好を祝福するかのように温かな拍手と笑みが会場を包み込んだ。

 それぞれの演し物に釘づけになった。
 異国情緒たっぷりな上に、演者と観客が一体になったこの盛り上がりは半端なかった。
 だからめちゃくちゃ幸せな気分になってきた。