翌週、規模別に上位から並べられたリストが届いた。
 依頼した通り、自社品の売上も併記してくれていた。
 前回と同じように計算してみると、規模別に並んだ上位2割の店舗で市場全体の7割弱を占めていた。
 2:8とは少し違うが、同じ傾向なのは確かだ。

 その上位60店舗の中で、自社品の売上上位店が何店舗入っているか数えた。
 たったの3店舗だった。
 ということは、つまり、客の多い大きな店舗には相手にされていないということだ。
 ということは、今までの担当者は他社がほとんど行かない小規模店だけを訪問していたのかもしれない。

 そういうことか……、

 見えてきた。
 2つの視点から分析すると、それまでとはまったく違う姿が見えてきた。
 すぐにやり方を変えた。
 売上があるからといって小規模店舗を重点訪問しても今後の伸びは期待できない。
〈伸びしろ〉があるのは大型店舗だ。
 大型店中心の訪問計画に切り替えることにした。

 店舗規模上位60店舗と自社品売上上位60店舗から、リストで重複する3店舗を差し引いた計117店舗を4段階に分けた。
 Sは、規模が飛びぬけて大きい10店舗、
 Aは、店舗規模を重視して20店舗、
 Bは、店舗規模と自社品売上規模を勘案して30店舗、
 そして、Cは、それ以外の57店舗。

 分析結果を訪問頻度にリンクさせた。
 Sは週1回、Aは2週間に1回、Bは1か月に1回、Cは3か月に1回、と決めた。
 効率的な訪問計画が立てられそうだ。

 澤ノ上教授、ありがとうございます。

 マーケティングの第一人者から多くのことを学べたことに感謝した。