手応えを感じていた。
 売上上位2割の店舗に集中することが理に適っているのは間違いないと思った。
 しかし、何か引っかかるものを感じてもいた。
 この60店舗はどこも比較的小さな店舗だった。
 そして、客で賑わうという雰囲気ではなかった。
 何か釈然としないものが胸の奥でつかえていた。

 何か見落としていないか? 

 そんな思いを抱きながら、長崎市で一番の繁華街〈浜町アーケード〉を歩いた。
 今日も人が多い。
 それも、女性が目立つ。

 この人たちは音楽に関心があるだろうか? 
 あるとすればどんな音楽だろうか? 

 そんなことを考えながら歩き続けていると、斜め右に大きな書店が見えてきた。
 隣接するようにレコード店があった。
 かなり大きな店だった。
 平日なのに客も多かった。

 レコード店の手前で鞄からリストを取り出した。
 自社の売上は信じられないほど少なかった。
 こんなに大きな店なのにおかしいと思った。
 すぐに店に入ってレコード棚を丹念に見ていったが、自社のレコードは洋楽の売れ筋以外何も見つけることはできなかった。

 ん~、おかしい。何か見落としている……、

 しかし、それがなんなのかまったく見当がつかなかった。