話が決まればそのあとは早かった。
 ツアーに向けての準備がどんどん進んでいった。
 それはまるで既定路線に乗っかっているようだった。
 すぐにギタリストを紹介されたのだ。
 凄腕のミュージシャンだと言われたが、そんなふうには見えなかった。
 髪はくしゃくしゃだしジーンズはヨレヨレだった。

 しかし、初めて音合わせをした時に驚いた。
 プロのギタリストのギターワークは流石に凄かった。
 スナッチとはタイプの違うギタリストだったが、そのテクニックは超一流と言っても過言ではなかった。

 すぐさまスタジオに籠って練習に明け暮れた。
 年明けから始まる全国ツアーが目前に迫っていた。
 前座として成功しなければその次はないことを肝に銘じて、覚悟を決めて練習に没頭した。
 そして、何度も誓い合った。

「スナッチ、俺たちは必ず成功する。お前がプレゼントしてくれたロンリー・ローラでデビューするからな」