1人当たりの面接時間は大体20分くらいだったが、その時間になっても小金井は部屋から出てこなかった。
 盛り上がっているのだろうか? 
 たった1人の正式採用に彼が選ばれるのだろうか?
 不安が押し寄せてきた。

 その後10分近く経ってから小金井が出てきた。
 顔が紅潮していた。
 やり切ったというような満足感を漂わせていた。

 彼が出て行くと、女性社員に名前を呼ばれた。
「はい」と答えたが、声が震えていた。
 緊張がピークに達していた。
 口の中はカラカラなのに掌には汗をかいていた。