ピアノの音が流れてきた。
 2台のピアノ合奏だ。

 それぞれにスポットライトが当たった。

 令が2人を紹介した。

「MOGAMIZ」

 最上と笑美の40年ぶりの合奏だった。
 ショパンの名曲がジャズ風にアレンジされ、華麗で優雅な音が会場を包み込んだ。
 観客はウットリとその音色に惹き込まれていった。

 MOGAMIZの演奏が終わるとステージにスモークが立ち込め、ステージ後方がせり上がってきた。
 それが止まると、ドラムソロが始まった。
 それも2人の。更に、スモークを吹き飛ばすように雷音が炸裂し、ギターのリフと共にヴォーカルのシャウトが始まった。
 それも2人で。
 絶叫が会場を埋め尽くした。
 興奮して客が泣いていた。
 ビートローリングスとクイーン・クリムゾンが一体となって現れたのだ。
 会場が揺れているように感じた。
 いや、揺れていた。
 観客の波動が会場を大きく揺らしていた。