エレガントミュージック社の取締役会、日本洋楽振興会の理事会双方において承認が為され、67:33の出資比率でKIZUNAステーションが新たなスタートを切ることになった。
 須尚は両社のまとめ役の任に付き、毎月両社の意思決定機関で経営報告をすることになった。
 そのことにより、日本洋楽振興会からどうでもいいような雑音が入るようになったし、
 それを先導する理事長に嫌悪を覚え続けたが、共同出資による成果も出始めた。
 業界挙げてのプロモーション計画が策定され、年間スケジュールが決定されたのだ。
 それに沿って業界各社が活発に動き始めると、呼応して販売側もキャンペーンを打ち始めた。
 制作側と販売側双方によるジョイント・イベントも行われるようになった。
 不振を極めていた洋楽が本格的に息を吹き返すための花火が次々と打ち上げられていった。
 しかし安心するわけにはいかなかった。
 大輪の花を夜空に咲かせるまでは気を緩めることはできない。
 自らを鼓舞するように両手で強く頬を打って気合を入れ直した。