轟はすぐさま2つの指示を出した。
 一つは、ターゲットとしている東京のFM局3社を計画よりも安価で買収すること。
 もう一つは、可能な限りローコストでオペレーションすることだった。

 それを受けて、すぐに動いた。
 赤字に陥っている東京のFM局3社に打診したのだ。
 すると、渡りに船と、トントン拍子に買収が決まった。
 それも、準備した買収金額の約8割で済むというおまけまでついた。
 これで投資回収計画のリスクが大幅に減った。
 轟に報告すると殊の外喜んでくれた。
 
 すぐさまプロジェクトチームを発足させた。
 その初回会合で、買収した3局を『ポップス専門局』『ジャズ専門局』『ロック専門局』として新装開局する準備を始めるよう指示を出した。
 それだけでなく、轟の賛意を取り付けた上で取締役会の承認を得て、3局の上に持株会社を設立することを決めた。
『KIZUNAステーション』
ミュージシャンと音楽ファンの間に強い絆が結ばれることを願って命名した。