「2人を納得させる何かが必要ね」

 轟の声は落ち着いていた。

「今日のように回収計画を盾に強行突破しようとすれば、却って防御を固くさせてしまうわ」

「そうですね」

 強固に反対する2人の顔が脳裏に浮かんだ。

「でも、回収計画以外の案となると……」

 何も思いつかなかった。
 しかし、轟は違っていた。

「回収できなかった時の案も併記したらどうかしら」

「と言いますと」

「計画通りに進んだ時とそうでない時の案を併記して、例えうまくいかなかったとしても大きな怪我にならないことを示すのよ」

「それは、回収できなかった時の損害を減らす施策を講じるということですか?」

「そう。そうすれば経営に大きな影響を及ぼさないでしょう」

「そうですが……」

 しかし、そんなうまい話があるのだろうか?
 
 首を傾げるしかなかったが、轟の口からは思いもかけない言葉が飛び出した。