日本の音楽業界は危機に瀕している。
 1998年の6,000億円をピークに音楽ソフトの生産実績は下落を続け、2018年には音楽配信を入れても3,000億円と、この20年で半分の規模になってしまっていた。
 このままでは日本の音楽業界は総崩れになる恐れがあった。

 REIZの世界的な成功によって売上と利益を伸ばし続けているエレガントミュージック社にとっても他人事ではなかった。
 というより、業界トップ企業になった責任として、先頭に立ってこの危機に立ち向かわなければならないのだ。
 須尚は日本の音楽業界の未来に光を取り戻したかった。
 だから、音楽専門チャネルの必要性を必死になって訴え続けた。
 その結果、社外取締役2名から音楽制作側が取り組むことへの疑問が示されたものの、轟社長の強力なバックアップもあって3回目の取締役会で設立準備の段階まで進めることにOKが出た。
 須尚は急いで設立準備プロジェクトを立ち上げ、洋楽専門の音楽チャネルの検討に着手した。