翌日からREIZのサードアルバムの録音が始まった。
 キーボーのいない録音スタジオで令が奮闘していた。
 歌と演奏に加えて、プロデュースと録音エンジニアリングを一手に引き受けていたのだ。

「さすが、キーボーの息子だな」

 タッキーとベスが感心していた。
 もちろん、キーボーとの経験の差は歴然だったが、そのセンスは勝るとも劣らないと言っても過言ではなかった。

「見様見真似です」

 令は照れていたが、超一流の素質を存分に発揮していた。
 
「満足のいくまで思う存分にやれ」という社長の全面的な後押しに支えられて、REIZはなんの気兼ねもなくアメリカでの録音作業に没頭できた。
 だから、妥協することなく細部にまで気を配った緻密な作業を進めることができた。
 そして、半年という異例の録音期間を経て、全曲英語のサードアルバムが完成した。