「高用量投与中のマウスとラットの有毛細胞に微小な毛の再生が認められました」

 ニタスの声に誰もが身動きできないでいた。
 固まっていた。
 喜びが大きすぎて声が出なかったのだ。

「最上博士の仮説が証明されました」

 ニタスが最上の手を握った瞬間、割れんばかりの歓声と拍手が会議室を包み込んだ。
 研究員同士が肩を叩き合い、中には涙ぐんでいる者もいた。

「やりましたね」
「やったね」
「やった、やった」