釈然としないものはあったが、引き受けてしまったのでやるしかなかった。
 2日間じっくり考えて、彼らに提案した。

「今回はオリジナルだけではなく、遊びで演っているディープパープルの曲を2曲入れたいと思います。1曲目は『ハイウェイスター』で観客の度肝を抜きます。そして『スモーク・オン・ザ・ウォーター』を続けてやって、ジャン、ジャン、ジャン♪ というリフで観客を乗せます。この2曲は歌なしでいきましょう。ヴォーカルパートのメロディーはシンセサイザーとギターで演奏します」

 すると、うんうん、というふうに3人が頷いた。

「3曲目は新曲『ビフォー&アフター』でどうでしょうか。そして、4曲目以降を今までの持ち歌にすれば、ハードロック→フォークロック→バラードと自然な流れができると思うんですけど」

「さすがだね、スナッチは天才!」

 ベスが間髪容れず持ち上げると、2人も異論はないというふうに頷いた。

「ところでさ、バンド名変えない?」

 タッキーのいきなりの提案だった。

「バンド名もビフォー&アフターにしようよ。ビーズじゃね~」

 とベスに顔を向けたが、キーボーにはちらっと眼をやっただけだった。

 今までのバンド名はキーボーが名付けたものだった。
『ビージーズ』を短縮して『ビーズ』
 だからキーボーが黙ってOKを出すはずはなかった。
 しかし、「いいんじゃない」とあっさりと同意したので驚いた。
 タッキーとベスは肩透かしを食らったかのようによろけたほどだった。

「じゃあ、決まりね」

 タッキーが断を下すと、よくわからないまま幕が下りた。