最上は、アメリカ製薬中央研究所のスペースの広さ、設備・研究機器の充実度、そして、公園のような緑化エリアに触れる度、その違いを実感していた。
 それに、昼食が無料で提供されるだけでなく、泊まり込みの研究をする研究者たちのための落ち着いた宿泊施設が完備していた。
 研究室内のソファで横になるしかない日本の現状とは大違いだった。
 評価と競争は厳しいが、研究者が心底研究に打ち込める環境が整備されているアメリカとは天と地ほどの差があるように感じていた。

 見習わなければならない、いや、いつかアメリカ製薬を超える研究環境を最上製薬で作り上げなければならないと、毎日毎日、自らに言い聞かせていた。