1時間ほど経った頃、キーボーがトイレに立った。
 足はふらついていた。
 テーブルに置かれたボトルの中身は半分に減っていた。

 キーボーが戻ってくるのを待って、立場を入れ替えた。

「ところで」

 キーボーの顔を見た。

「なんだ?」

 トロンとした目で見つめ返された。

「ん。令君がお前の体のことを心配していたぞ」

「俺の体?」

「ああ。酒の飲みすぎをとても心配していた」

「酒は……」

 彼は虚ろな目でバーボンのボトルを手にした。
 そして、グラスに注いだ。

「俺の薬」

 一気に呷った。

「そんな飲み方をするから」

 しかし苦言を気にする様子もなく、またグラスにバーボンを注いだ。
 そして、こちらのグラスにバーボンを注ぎ足した。

「久しぶりに会ったのに、誰かさんみたいな小言を言うなよ」

 不機嫌な表情のまま、また一気に呷った。