REIZのデビュー曲『サンライズ』は初登場1位という誰も予想していなかった驚くべき結果をもたらした。

 目ざとい週刊誌やスポーツ新聞がデビュー前の麗華と令に目を付けて頻繁に取り上げたため、認知度が急上昇し、それがSNSによって拡散していった。
 それに注目したテレビ各社のバラエティ番組やワイドショー番組の芸能コーナーで紹介されるという好循環が生まれ、瞬く間に全国区の人気を勝ち得たのだ。

 それはとても嬉しいことだったが、全体をマネジメントしている立場としてはパニックに陥った。
 初登場1位というあり得ない事態になることを想像していなかったため、生産数量の読みを完全に間違えてしまったのだ。
 だから、一気に在庫が無くなってしまった。
 全国のCDショップで売り切れが続出し、エレガントミュージック社に注文が殺到した。
 須尚はすぐにフル生産を指示したが、焼け石に水の状態だった。
 その後の勢いも予想をはるかに超えていた。
 10週に渡って1位を独走した『サンライズ』は一気に100万枚を超えてしまった。
 製造即出荷という嬉しい悲鳴は、エレガントミュージック社の売上と利益を大きく押し上げる有難い果実に変わっていった。