「もう二度とREIZとは組まないわ」

 SEVEN ROSESのマネジャーの言葉だった。

 彼女たちはREIZに完全に食われていた。
 どちらがメインかわからなくなっていた。
 REIZの演奏が終了してもアンコールの声が鳴り止まなかった。
 そして、一度のアンコール演奏では観客が納得しなかった。
 少なくとも3回のアンコール演奏が必要だった。

 出番待ちをしていたSEVEN ROSESのメンバーにイライラが募った。
 加えて、主役を奪われた嫉妬が重なったようで、それが演奏に影響を及ぼした。
 ミスが目立つようになったのだ。
 それだけではなかった。
 あろうことか、SEVEN ROSESの演奏終了時になんと、「REIZ、REIZ」と、REIZを再び呼ぶ声が会場にこだましたのだ。
 これに対して、SEVEN ROSESのマネジャーがブチ切れた。
 そして、REIZの4人に向かって胸の前で両手を交差した。
 ×。

 須尚はツアー最終日の楽屋裏でその状況を見ていた。
 勝負は決したと即断した。
 これ以上確認することは何もなかった。
 あとは行動あるのみだ。

「デビュー曲の録音に取り掛かろう」

 マネジャーが去ったあと、彼らに伝えた。
 4人は目を輝かせて喜んだ。