公演当日になった。
 会場は女性とおじ様たちが半々の状態で、異様な熱気に包まれていた。
 そんな中、前座のREIZが登場した。
 その瞬間、会場がざわついた。
 若い男女とおじさん2人というアンバランスな組み合わせに違和感を抱いているようだった。
 それに、そのおじさんは顎髭を生やしたスキンヘッドと白髪の混じった長髪で、どう見ても異様に見えるのは仕方がなかった。
 
 会場がザワザワする中、タッキーがスティックを叩いてカウントを数えた。
 それを合図に演奏が始まると、えっ? という感じで多くの客が驚きの表情を浮かべた。
『上手い!』という字が多くの人の顔に浮かんでいるように見えた。
 一瞬にして会場に期待感が広がったように感じた。

 そんな中、麗華にスポットライトが当たった。
 すると間髪容れず「可愛い!」という声が最前席のおじ様たちから飛んだ。

 サビの部分で礼がハモるとすぐさま若い女性客が反応し、
「カッコいい!」という声があちこちから聞こえた。

 間奏のギターソロになってステージの一番前に立つ礼にスポットライトが当たると、キャーという歓声が沸き起こった。
 初登場のバンドにこのような歓声が起こるのは前代未聞と言ってもよかった。