須尚正 
 
 思っていた通り、SEVEN ROSESの人気は凄かった。
 公演チケットはすべて前売り段階で完売した。
 それも発売当日にすべて売り切れるという凄まじいものだった。
 美人揃いで演奏が抜群にうまくて、その上、体のラインを強調したロングドレスやミニスカートでの演奏もあるのだ。
 そのお色気に魅せられたお金持ちのおじ様たちが、女性ファンと競うようにチケットを買い求めていた。

 麗華と礼はちょっと怖気づいているようだった。
 それは駆け出しの新人として当たり前のことではあったが、「SEVEN ROSESに負けない拍手を、いや、凌駕する拍手を勝ち取れるかどうか、それを評価の基準とする」と告げたあの時の言葉が緊張感を高めているのは間違いなかった。

 対して、タッキーとベスはこの状況を楽しんでいた。
 満員の会場で演奏できることにワクワクしているのがはっきりとわかった。
 それに、昔のファンと再会できるかもしれないという期待も抱いているようだった。