最上極 

 待ちに待った日がやってきた。
 誘導体を投与して6か月目の結果が発表される重要な日を迎えたのだ。

 前夜は何度も目が覚めた。
 その度に嫌な思いに襲われた。
 3か月目の結果と同様、芳しくない報告を受けるのではないかと不安になった。
 その度に大丈夫、大丈夫と自らに言い聞かせて心を落ち着かせたが、それでも浅い眠りしか得られなかった。
 起きた時には鉛の覆いを纏っているような重さとダルさを感じた。

 会議室に入ると、既に日本人研究員が全員集まっていた。
 皆そわそわと落ち着かないようだった。
 それは最上も同じで、固唾を飲んで、ある人物の登場を待った。

 ドアを開けて、その人物が入室した。
 アメリカ人研究員を従えたニタス博士だった。