それで違和感が消えたかどうかはわからなかったが、これからすべきことを彼らに告げた。
 以前、轟がビフォー&アフターに課したように、デビューする前の腕試し前座ツアーを企画していたのだ。
 しかし、そのツアーの主役はロックバンドではなくアイドルグループだった。
 それもただのアイドルグループではなく、クラシック界を飛び出した七人の美女の演奏グループだった。
 その名はSEVEN ROSES。
 七つのバラ。
 美しさに加えてバイオリンの名手揃いだった。
 そして、動きのある演奏を得意としていた。

「彼女たちに負けない拍手を、いや、凌駕(りょうが)する拍手を勝ち取れるかどうか、それを評価の基準とする」

「そんな~」

 麗華と礼が同時に不満そうな声を出した。

「彼女たちは人気絶頂のアイドルグループなのよ。美しくて品があって、でも色気もあって、その上バイオリンの名手揃いだし」

 勝てるわけがない、というように麗華が頬を膨らませた。
 同調するように、令も不満気な顔をこちらに向けた。

 そんな2人に対して、「やって見なきゃわからないだろう」とタッキーが鼓舞した。
「怖気づくな!」とベスが叱りつけた。
 その通りだった。
 最初から諦めていたら勝負にならない。

「そうだけど……」

 麗華はまだ頬を膨らませていたが、オジサン3人組はREIZが負けるとは露ほども思っていなかった。
 麗華と令には自分たちの魅力がまだわかっていないと確信していたからだ。