「木暮戸令です」

 目の前に座る長髪の若者が頭を下げた。

 木暮戸……、
 あのキーボーの息子……、

 彼の顔を見つめたまま声を出すことができなかった。

 こんな縁があるのだろうか?

 学生時代バンドを組んでいたメンバーの息子と自分の娘がデュオを結成しているという不思議な現実をまだ信じられないでいた。

 それにしてもよく似ている……、

 キーボーの若い頃と顔つきがよく似ていた。
 というか、そっくりだった。
 そんな心の声が聞こえたのか、
「オヤジ似だと、よく言われます」
 と彼は頭を掻いた。