「麗華は願い通りの女性になったの。本当に素敵な女性になったのよ」

 それは同感だった。
 反論も異論もなかった。
 しかし、だから、だからこそ、苦労をさせたくなかった。
 こんなに可愛い娘に辛い思いをさせたくなかった。

「あなたが麗華を思う気持ちはよくわかるわ。でもね、麗華はわたしたちの娘であると同時に、一人の独立した女性なのよ。庇護(ひご)が必要な幼い頃と違って今は、そう、今は支援してあげることが必要なの。庇護ではなくて支援。わかる?」

 わかる。わかっている。
 十分わかっている。
 でも、

「麗華は思いつきで言っているのではないのよ。考えて考えて、悩んで悩んで、その結果、結論を出して、あなたにお願いしているの。それをわかってあげて」

 わかっている。本当にわかっている。
 でもね、

「無限の可能性を持っていると思うの、麗華は。そう思わない? わたしはその可能性を強く信じているの。麗華ならやれるって。自分の夢を叶えることができるって」

 妻の熱い視線が心の中の塊を狙い撃ちにしていた。
 硬い岩盤のような過保護という塊を。