入学後は作詞作曲専科で理論を学びながら課題をこなしていって、少しずつオリジナル曲を増やしていった。
 そして、ある程度曲が貯まったところでバンドを結成して、学園祭を中心に活動を始めた。
 でも、バンドといっても形態がちょっと変わっている。
 ピアノと歌が麗華で、ギターと歌が令なのだが、スピーカーから流れる音にはドラムやベースの音も入っているのだ。
 何故そんなことができるのかというと、技術に詳しい令がプログラミングをしているから。
 それは業界用語で〈打ち込み〉と呼ばれているもので、いくつもの楽器を重ねていくと、例え実際に演奏しているのが2人であっても多人数で演奏しているような音を再現できる仕組みになっている。
 
 そんな中、びっくりするようなことがあった。
 女子大のイベントで演奏し終わって楽屋で反省会をしていたら、そこそこ知られているレコード会社の人が訪ねて来て、うちからデビューしないかと言われたのだ。
 いきなりだったので驚いたが、その気はないのでやんわりと断った。
 しかし、その人は諦めなかった。
 REI&REIKAは結構人気があるとかなんとか褒め倒されて尚も口説かれた。
 確かに令はカッコ良くてクールだから女の子にキャーキャー言われていたけど、人気の秘密はそれだけではないという。
 麗華も男子学生に物凄く人気があると言うのだ。
 更に、「君のルックスは最高だし、スタイルも抜群だし、その歌声はミルキーヴォイスだ」と褒めそやされた。
 余りのお上手にちょっと照れたが、そんな話に乗るつもりはまったくなかった。
 令と2人できっぱりと断った。