須尚麗華 
 
『REI&REIKA』

 それが麗華が組んだバンドの名前だった。
 もちろん、REIKAは名前から取ったもので、REIは木暮戸令の令から取ったものだった。
 そう、同じ大学に入った令とバンドを結成したのだ。

 令とは高校2年で同じクラスになって、ちょっと気になる存在になった。
 長身長髪で甘いマスクの彼は目立っていたし、英語の発音がネイティヴそのものでカッコイイなって思った。
 カラオケで『ビフォー&アフター』の曲を歌った時は、そのハスキーな歌声にかなり惹かれた。

 高校3年生になって付き合うようになって、彼の第1志望が芸能大だと知った。
 中途半端に終わった父親の夢を自分が果たしたいと語る彼の真剣な顔はキラキラ光っていて本当に素敵だった。
 だからか、それまでの志望は音大でピアノを専攻することだったが、彼と一緒に芸能大に行くのもいいなって思い始めた。
 でも、音大も捨てがたいしどうしようかと思っていた時、父親がスナッチだとわかって、心が決まった。
 (かえる)の子はやはり蛙だった。