急いで帰国し、取締役会に報告した。
 取締役会は合弁研究所の可否を判断するため、経営企画室、研究部、開発部、知的財産部、法務部、財務部に検討を指示した。
 
 1か月後、出資比率、研究内容、研究期間に関する内容には問題が無いこと、但し、研究所を設置する場所はアメリカ製薬の研究所敷地内が望ましいと併記された報告書が取締役会に提出された。

 取締役会で了承したあと、契約書のたたき台をアメリカ製薬に送り、何度もすり合わせを行った。
 そして、3か月後、アメリカ製薬中央研究所の一室に合弁研究所を設置することが合意され、契約が交わされた。
 併せて、最上が代表、ニタス博士が共同代表に就任することも決定された。
 研究員は両社から各5名、計10名が出向する体制となった。
 新たな挑戦が始まった。