ドアを開けて店の中に入ると、なんと、店の造りが一緒だった。

 もしかして……、

 そうだった、あのフィール・ソー・グッドの姉妹店だった。
 なんという偶然、なんという出会い、なんという縁。
 信じられない思いで店内を見回した。
 
 案内されたソファに身を沈めた。
 そして、アルマニャック・ブランデーとチェイサーを注文してピアノ演奏に身を任せた。

 心地良いジャズピアノの音が耳に優しかった。
 キーンという耳鳴りは消えていた。
 まだ時間が早いせいもあって、客はそれほど多くなかった。
 さり気なく店内を観察すると、ピアノ演奏を邪魔しないように囁くような声で交わされる会話が客層を表しているようだった。
 落ち着いた雰囲気が気に入って、ここでしばらく過ごそうと決めた。