麗華が自分の部屋に戻ったあと、妻に向き合った。

「わたしがスナッチだということは言ってないよね」

 妻は頷いた。

「あなたのレコードを聴かせたことも無いわ」

 妻は〈信じて〉というような目で訴えた。

 もちろん妻が嘘をつくわけはないので〈わかってる〉と頷いたが、それでも心に引っかかっている何かが取れることはなかった。

「なんで、あんな目でわたしを見たのだろう?」

 麗華の視線の意味を、探しあぐねていた。