長年通っている神楽坂の鮨屋だった。
まだ時間が早いせいか自分たち以外にはカウンターの端に座る夫婦らしき一組しかいなかったし、穏やかな声で話していたので反対側の端に座る自分たちの邪魔になることはなかった。
「ところで、元気にしてたか?」
頷くと思ったら、須尚は一瞬返事に困ったような表情を浮かべた。
「何かあったのか?」
ちょっと心配になって顔を覗き込んだ。
「実は……」
耳鳴りに悩まされていることを初めて知った。
「耳鳴りか~」
残念ながらよく効く治療薬が無いことを知っていたので、勇気づける言葉をかけることが出来なかった。
「災難だったな」
それ以外の言葉は思い浮かばなかった。
気の毒だったが、どうしようもなかった。
「一生こいつと付き合うことになるらしい」
辛そうな表情で彼は両耳を手で包み込んだ。
キーンという音が強く聞こえているらしい。
そんな様子を黙って見ていることができなかったので、彼の肩に手を置いた。
なんとかしてやりたいという気持ちが強くなって、思わず励ましの言葉が口を衝いた。
まだ時間が早いせいか自分たち以外にはカウンターの端に座る夫婦らしき一組しかいなかったし、穏やかな声で話していたので反対側の端に座る自分たちの邪魔になることはなかった。
「ところで、元気にしてたか?」
頷くと思ったら、須尚は一瞬返事に困ったような表情を浮かべた。
「何かあったのか?」
ちょっと心配になって顔を覗き込んだ。
「実は……」
耳鳴りに悩まされていることを初めて知った。
「耳鳴りか~」
残念ながらよく効く治療薬が無いことを知っていたので、勇気づける言葉をかけることが出来なかった。
「災難だったな」
それ以外の言葉は思い浮かばなかった。
気の毒だったが、どうしようもなかった。
「一生こいつと付き合うことになるらしい」
辛そうな表情で彼は両耳を手で包み込んだ。
キーンという音が強く聞こえているらしい。
そんな様子を黙って見ていることができなかったので、彼の肩に手を置いた。
なんとかしてやりたいという気持ちが強くなって、思わず励ましの言葉が口を衝いた。