その日以来、客からの苦情が増えていった。
 それを受けて店は試聴機の見回りを強化し、やっと犯人を捕まえたのだ。

 店員は犯人を詰問した。

「自分がやられて嫌なことを何故他人にするのか!」

 しかしそいつは悪びれずに言った。

「自分だけ不幸なのは平等ではない」

 それを聞いて、これはダメだと思い警察に通報したのだという。
 警察の取り調べにも反省の色が見えなかったため連行されていった。

「病んでますね」

 悲しそうな口調になった。

「音楽が好きな人に悪い人はいないと思っていたのに……」

 辛そうな表情で息を吐き出した。
 そして、「いい歳した大人が。奥さんも子供もいるのに。家族が可愛そうに」とさっきより辛そうに息を吐いた。