2年生になって、やっと学校封鎖が解けた。
 講義も再開され、大学に活気が戻ってきた。
 それは自分にとっても同じだった。
 作詞作曲編曲研究会に入会したものの部室に行けない状態が続いていたが、やっと練習らしい練習ができるようになったのだ。
 それだけでなく、正式にバンドに加入することになった。
 メンバーはあの3人、スキンヘッドと茶髪長髪と黒髪長髪。彼らは全員一年先輩だった。

 スキンヘッドの名前は田滝太湖(たたきたいこ)で、愛称はタッキー。
 茶髪長髪は部素(べす)弦太(げんた)で、愛称はベス。
 黒髪長髪は木暮戸(きぼど)(だん)で、愛称はキーボー。
 それぞれの音楽志向はバラバラだった。
 タッキーとベスはジャズ志向が強く、
 キーボーはバラードが好きだった。
 そして、自分はハードロック。

 6月の大学祭まで時間がなかったが、なんとか形にしようと練習を繰り返した。
 その日も大学の近くにある貸しスタジオでたっぷり2時間練習を行い、その後、決起会という名目で飲み会をすることになった。