「確かにメガチェーンの価格は脅威ですけど、マニアが買っているくらいで一般の人には普及していませんし」

「今はね。でも、これからはどうかしら。メガチェーンの存在が多くの人に知れ渡り、価格差が認識され、更に、ポイント付与の大きさに気づいたら一気に流れが変わってしまうんじゃないの」

 轟は先行きの暗さを強く訴えた。
 現下の好調な売上がいつまでも続くはずがないと言っているのだ。

「それにね、音楽配信の技術が開発されようとしているの」

 初耳だった。

「まだ研究段階だし、商業化はもっとあとになると思うけど、いつかそれが主流になる時期が来ると思うの」

 よく理解できなかった。

「とにかく、これから音楽業界に大きなうねりが襲ってくるのは間違いないはずよ。その流れに乗るために何をしなくてはいけないか、一緒に考えて欲しいの」