10日後、
 弾んだ声が受話器の向こうから聞こえてきた。

「私を褒めてくれる?」

 轟だった。

「やったわよ。口説いたわよ。凄いと思わない?」

 鼻高々の声だった。

「企画部と営業部を統括する取締役に直接頼んだの。そうしたらね」

 ふふふ、と笑って「何があったと思う?」と焦らすように言ったが、そんなことわかる訳もないので固唾を飲んで次の言葉を待った。

「うちの取締役と河合取締役は大学の同期なんだって」

 えっ、同期? 
 じゃあ……、

「『今すぐキチンと処理しなさい。ただ、一昨年分を今年処理するわけにはいかないし、昨年も協賛していないから、今年の分として3年分の額の協賛金をお持ちしなさい』だって」

 ワォ!

「そしてね、『今から河合さんに電話するから、長崎の担当者にすぐ訪問するように伝えてくれ』って言ってたわよ」

 ワォ! ワォ!

「ありがとうございます。ありがとうございます。感謝感激です。すぐに協賛金を持って河合取締役に会ってきます」