「いや、気づいてるけど好きな女を前にすると素直に言えないのか?」




好きな女?





「だっ誰が、こいつを好きだって……」




図星を突かれて、顔を赤くしながら音羽を指で指す大輝。




好きな女って……私!?いや、有り得んでしょ。大輝の今までの態度は好きな人への態度とはかけ離れてる。





「まぁ、ひねくれたアプローチの仕方しかできない残念やつだしな」






「だから俺はこいつを好きとかじゃなくてっ!」





慌てて否定する大輝。





「ワケわかんねぇこと抜かすな!」






顔を赤くしながらなんとも情けない最後の一言を置いて、どこかへ行ってしまった大輝。





大輝の去っていく背中を見ていると――




「先輩、少し移動しましょう」




「?」