やっぱり、最近よく目が合う。ドキドキする。見すぎだから、目が合うのかもしれない。

 思い切って、ごはんに誘った。

 「いいよ」って笑顔で答えてくれた。

 うれしかった。

 でも食事に誘った翌日から華ちゃんは一月休んだ。


 華ちゃんはまた働きだしたが、よそよそしくなった。

 そして、新しく赴任したイケメンの店長と仲良くなったようだ。

 店長は三十代半ばぐらいだ、そんな上の人と付き合うかな。

 華ちゃんは店長といるときは明るかった。

 翔は自分はたぶん嫉妬していると思った。

 休憩室に店長と華ちゃんがいるのを知らずに入った。

 華ちゃんはちょっと涙ぐんでて、気まずかった。

 すぐに部屋を出た。

 店長は独身じゃなかった。

 翔は自分には関係がない。何も言える立場じゃないと思った。

 翔は華ちゃんとは仕事以外の話はしなくなった。

 九月、翔は正社員になった。

 それは華ちゃんと決別したい思いや、正社員じゃなかったからダメだったんじゃないかという思いからだった。

 翔はバイトだが商品管理をしていた。

 データベース操作や自動化プログラムを作って、商品動向分析から自動発注までこなしていた。

 英語も普通に話せた。接客コンテストはいつも上位だった。

 その結果、正社員登用後の仕事はグアムへの出店プロジェクトになった。

 枚方店を出ていきなりグアムに飛ぶことになった。

 華ちゃんも笑顔でおめでとうと言ってくれた。やっぱり素敵な笑顔だ。



 グアムに出発する前に、悪あがきで華ちゃんに声をかけた。

「前に食事に誘ったのに行ってないし、最後に一緒に花火に行ってよ」と誘った。

 するとしぶしぶOKしてくれた。

 翔はなんて情けない誘い方をしてるんだろうと悔やんだ。

 本当はまだ、華ちゃんが忘れられないんだと思った。